Raindrop~Mikoto side
暗い気持ちのまま迎えた新しい年。
豪華絢爛なホテルで行われた一条グループ50周年記念パーティ兼、三男の婚約披露パーティ。
……正直、どうしていたのか良く覚えていない。
テレビや新聞で見かける政治家や企業家の錚々たる顔ぶれの中、心細いのを必死に隠して挨拶周りをしていたことだけは覚えている。
その後、隆明さんと2人きりの時間もあったけれど、疲れたからとほとんど会話もなく、そのまま別れた。
今頃彼は飛行機の中。
そうして私は、今一番の癒しの空間へ。
「花音ちゃん、とても良くなったわ。お休みの間とても頑張ったのね」
橘家のレッスン室で、懸命に私にヴァイオリンを聴かせてくれた花音ちゃんにそう言うと、彼女は白い頬を淡い桃色に染めて、ふわっと微笑んだ。
「はいっ、頑張りました! パリでね、色んな人の演奏を聴いてきたんです。そうしたら、私もいっぱい頑張らなきゃって思って……」
「そっか、冬休みはパリへ行っていたのよね」
「はいっ。シャンゼリゼ通り、すごく綺麗でしたぁ」
豪華絢爛なホテルで行われた一条グループ50周年記念パーティ兼、三男の婚約披露パーティ。
……正直、どうしていたのか良く覚えていない。
テレビや新聞で見かける政治家や企業家の錚々たる顔ぶれの中、心細いのを必死に隠して挨拶周りをしていたことだけは覚えている。
その後、隆明さんと2人きりの時間もあったけれど、疲れたからとほとんど会話もなく、そのまま別れた。
今頃彼は飛行機の中。
そうして私は、今一番の癒しの空間へ。
「花音ちゃん、とても良くなったわ。お休みの間とても頑張ったのね」
橘家のレッスン室で、懸命に私にヴァイオリンを聴かせてくれた花音ちゃんにそう言うと、彼女は白い頬を淡い桃色に染めて、ふわっと微笑んだ。
「はいっ、頑張りました! パリでね、色んな人の演奏を聴いてきたんです。そうしたら、私もいっぱい頑張らなきゃって思って……」
「そっか、冬休みはパリへ行っていたのよね」
「はいっ。シャンゼリゼ通り、すごく綺麗でしたぁ」