Raindrop~Mikoto side
「……そこまでおっしゃるのなら、僕はもう謝りませんよ」

心の奥まで突き抜けるような、真っ直ぐな瞳で和音くんはそう言う。

そうして掬い上げた髪を、私の耳にかけてくれた。

「あ……え、ええ、謝らないで……だいじょう、ぶ……」

なんだか怖い。

真っ直ぐすぎるその瞳が。

優しくたわむ唇が。

私の薄っぺらい決心を揺るがしそうで。

目を背けたつもりの優しい雨音に、掴まってしまいそうで。


無意識のうちに後退していた私の背は、冷たい窓硝子にぶつかった。

和音くんから距離を置こうとしたのだけれど、逆に追い詰められてしまった。

「和音くん? あの……」

楽譜を入れたトートバッグを両手に抱え、震えそうになる身体に力を込め、笑みを作る。

けれどそれもすぐに消されてしまった。

和音くんが私の右肩の横に手をついて迫ってきた。

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