Raindrop~Mikoto side
これだけは譲れないと言わんばかりの和音くんに、私は焦りと同時に嬉しさも感じていた。
ねぇ、だけど。
──貴方の想いを誰にも知られてはいけない。
誰にも。
……私にも。
「おにーちゃーん?」
返事がないのを不思議に思ったのか、もう一度花音ちゃんの声が聞こえてきた。
カチャリ、とドアノブの回る音がする。
それでも和音くんは覚悟を決めたかのように動かないから。
なんとしてでも彼の檻から抜け出すために、私は顔を上げて少し爪先立ちになって。
唇を掠めるだけの、キスをした。
さすがに、これには和音くんも驚いたらしい。
一瞬だけ出来た隙に、さっとそこから逃げ出した。
同時に花音ちゃんが「終わったぁ~?」と、ドアの隙間からひょっこり顔を出した。
「あ、ええ。今日は早めに切り上げたのよ。休み明けは疲れますからね」
なるべく穏やかに。何もなかったかのように微笑む。
ねぇ、だけど。
──貴方の想いを誰にも知られてはいけない。
誰にも。
……私にも。
「おにーちゃーん?」
返事がないのを不思議に思ったのか、もう一度花音ちゃんの声が聞こえてきた。
カチャリ、とドアノブの回る音がする。
それでも和音くんは覚悟を決めたかのように動かないから。
なんとしてでも彼の檻から抜け出すために、私は顔を上げて少し爪先立ちになって。
唇を掠めるだけの、キスをした。
さすがに、これには和音くんも驚いたらしい。
一瞬だけ出来た隙に、さっとそこから逃げ出した。
同時に花音ちゃんが「終わったぁ~?」と、ドアの隙間からひょっこり顔を出した。
「あ、ええ。今日は早めに切り上げたのよ。休み明けは疲れますからね」
なるべく穏やかに。何もなかったかのように微笑む。