Raindrop~Mikoto side
けれども睡魔は容赦なく襲い掛かってくる。

頑張って、私。

二日徹夜が何よ。

この子の頑張りに比べたらなんてことないじゃない。

ただ今日の夜まで寝なければいいことよ。

夜になったら寝てもいいから!


そうやって襲い掛かってくる眠りの悪魔と戦っていたはずの私は。

はっ、と気がつくと、後ろのソファに頭を乗せていた。


寝てた!


真っ青になって飛び起きると、花音ちゃんもソファの下に転がって眠っていた。

一緒に眠っていたの?

そっと参考書を覗くと、大体終わっていたけれど、少し難解な計算式のところで止まっていた。

まさか、私が寝ていて役に立たないから、諦めるようなことになってしまったのかしら。

あああ、どうしよう、どうしよう。

憧れの天才ヴァイオリニスト、総資産国家予算超えの超お金持ちの娘さんの前でこんな大失態!

クビにされてしまう。

ああ、その方がいいのかもしれないけれど。

こんな駄目大人の私なんか、クビになるべきなのかもしれないけれど。

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