そうして全部溶けてしまえばいい。

智紗が篠原の席を見つめながら話を続ける。

「篠原って気まぐれでしか学校こないじゃん。来たと思っても授業中おかまいなしに帰っちゃうし。ぶっちゃけこのクラスで篠原と格別仲良いっていうヤツいなくない?」

「あー…一匹狼って感じだよね。みんな一目置いてるってゆうか、騒いでるのぶっちゃけ女子だけだしね」


智紗と実加子の話をあたしは黙ってきいていた。


そう、彼はそんなヤツだ。

自由人。

授業中騒いで授業崩壊するバカみたいな自由じゃなくて

あたしたちのなかにある境界線をすんなりとすり抜けてしまう、自由。

たとえば彼には所属グループがない。
いわゆる仲良しグループってやつ。

誰にでも“お前それ違うんじゃねーの?”“お前らバカだな”とかアッサリ言えちゃう。

それは教師にたいしても同じだから、教師たちが彼を問題視していることも事実だった。

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