ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
毎日のように起きている交通事故。
けれど、自分に関係のない出来事だった場合、そのおそろしさにいまいち実感を持てなかったり、共感できずに自分に都合の良い甘い運転をしてしまうのは仕方がないこと。
私もそうだった。
ノド元過ぎれば熱さを忘れる。
まさにその通りで、マサキが無事だと分かった瞬間、交通事故のこわさを忘れてしまっていた。
後遺症のことを打ち明けられるまで、マサキが入院していたことすら思い出せなかった。
人は、そういう生き物なんだと思う。
つらい出来事も、楽しかったことも、日に日に遠ざけるような脳をして生まれてきたのだから。
けれど、私は知った。
事故の後遺症に悩む、マサキの心情を。
教習指導員になりたいなんて、しょせん自己満足な考えなのかもしれない。
事故の関係者の心情や環境を想像すると、安易に口にしてはいけないことだとも思う。
ただ、それ以上に、強い気持ちがあるのも本当だ。
私は、マサキのように苦しむ人を、一人でも多く減らしたい。
本当は「無くしたい」と言いたいけれど。