ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
《……時間を巻き戻して、自分の不注意を正したい。
そうすれば、今ごろ俺はMの手を取り、彼女と笑い合っていたかもしれない。
別れを告げて、彼女を泣かさずに済んだかもしれない。
大切なものを失くして、その代用品がない場合、人は何を支えにして生きていけばいいのだろう?
俺は、今の会社に労力を捧げるためだけに、この世に生まれてきたのだろうか………。
時間の流れるままに歳を取り、愛を授受できぬまま死んでいくのだろうか……。
それしかないと諦める自分。
それは嫌だともがく自分。
ふとした瞬間、自分の中で真逆の思考がぶつかりあい、頭がおかしくなる。
罪のない周りの人に、当たり散らしてしまいそうだ。
来る日も来る日も、理性で攻撃的な自分を眠らせる。
こんな生活に、俺はいつまで耐えられるだろうか?
自分で選んだ結末なのに、自分自身を納得させることができないでいる。》