ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
マサキの書いたケータイ小説。
中盤までは、時に冗談ぽい口調で笑いを取りつつ、日常を面白おかしく綴っていたけど。
最終章だけは、違った。
マサキの暗部がかいまみえるような、重たい雰囲気が伝わってくる。
私の意識はそこで途切れた。
先を読みたいという意思に反し、眠くて眠くて仕方がなく、ケータイを手にしたままベッドに倒れ込んでしまう。
最後のページまで読みたかったのに、それができなかった。
――…マサキ。私は、マサキがそばにいてくれたら、それで良かったんだよ。
あたたかいまなざしで見つめてくれるだけで、心に光が射した。
一人の食事は気楽で良いと思ってたけど、マサキと付き合い、マサキと料理をするようになってからは、食事の大切さを知った。
サクと体の関係になっても満たせないくらい、一人の時間がこんなにも寂しくなったよ。
私の涙を見たくないのか、どんなにひどい手料理が出来ても、マサキは文句言わず嬉しそうに食べてくれたよね。
別れた後も、お腹がすいた時、私と作った料理のことを思い出してくれてた……。
こんな欠点だらけの女に、会いたいと思ってくれてた。
そんな心の広いマサキだから、私は、自分の弱さをマサキに見せることができたんだよ。