ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
空気を明るくするべく、話題をつなぐ。
私の話が頭に入っていないようで、アサミは突然、こう切り出した。
「……あたし、最終章まで読んだんだけどさ。
やっぱりミオは、マサキとヨリ戻さない方がいいと思う」
「え? なんで?
最終章に、何か気になることでも書いてあったの……?」
「…………どうしよう。
あたしの口から言った方がいい?」
常に、言いたいことをポンポン口にするアサミらしくない言い方に、私の不安感はいっそう強くなった。
わざと、何でもないフリで、
「なにー?
気持ち悪いな、今のアサミはー」
と、ふざけて返す。
いつものアサミなら、ムキになって冗談ぽく悪口のひとつは言い返してくるのに、今回は無言で私から目をそらした。
玄関で立ち話しているとヒロ達に合流できなくなるかもしれないし、アサミとの間に流れる変な空気をどうにかしたかったので、私は部屋に引っ込み、急いで出かける支度をした。
「とりあえず、ヒロ達のいる店に行こうよ」
身なりを整え玄関に戻ると、明らかに乗り気でないアサミをうながした。
アサミは瞳に迷いの色を浮かべながらも私に合わせてついて来てくれたので、少しホッとした。