詩集 闇の中の供物
妄想では足りない夜
妄想では足りない夜
月夜かな
身体が震えたまま
止まらずに喘ぐ
妄想が役に立たない
見下ろすように冷徹な思考が
そんな身体に包まれて
いるのが不思議だ
本物が欲しい
君の肉
と粘液
匂い
口の中に広がる味
両手をつかんで床に磔にして
君の喘ぎ声を
この耳で聞きたい
きっと
抱きしめられただけでイクよ
泣きながら愛してると
幾度も繰り返して
どんな妄想も今夜は
実在する君には勝てない
実在する僕が
すべての観念を廃棄したんだ
満足だろう
イケないんだ
もう孤独は被虐を超えた
身体が壊れていることだけが
現実だと思い知らされる
何度でも
何度でも
月夜かな
雲はそれを
隠すのかな
君が足りない
君だけが