詩集 闇の中の供物
虚ろに人型
虚ろに人型
自分を見下ろしている
目よりもほんの少し上から
自分を
何かをすべて吐き出して
虚ろな器
静かに動きを止めて
眠りではない
休息ではない
停止でもない
置いてある
まるで生きてるかのように
正山小種の甘い煙をひとくち
テーブルの上の薄い白磁
お茶の色が透けて見える
ついさっきまでの
抗うことの出来ない
淫らな時
思い出せもしない
いつの間にか
君が再生する
録音された声
誰…?
こんなに喘いで
求めて
叫んで
僕が尋ねても君は笑うだけ
誰かな…
そう…
誰かな…?