僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
「だいじょーぶ?トラ屏風?」
何だその意味不な駄洒落は?
「大丈夫…死なないさ…、たとえこの身が朽ち果てても…!!僕は君をあそこへ連れて行かなければならないんだぁっ!!」
こういった芝居でもしなければ体力が持たない。
気合入れの意味も兼ねてふざける。
「私を連れてって!!」
それと、ガキに付き合うためにも…。
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」
やっぱきつい!!
「行け行け!洒号!!」
洒冴(さいご)と呼び捨てにされている感じでスゲぇ恥ずかしい。
「グッ…!!ポッ…ポッポォーーーーーー!!」
ヤケクソォォ!!
真の力を解放だ!!
「星がきれー。」
頑張りを無視ですか!?島井さん!
「なかなかの…っ!ド…エスッ!!」
最近妹がはまったらしいキャラクターの台詞を言う。
ダメだ…大して力が出ない…。
12時まであと2時間。
意外とゆっくり行っても大丈夫そうだな。
「なぁ…島井…、歩く気はないか?」
「木は歩きませーん♪」
「違う…。」
何故か機嫌が良くなってきた島井さん。
「流石に疲れてきました…。」
「そんなんじゃあ高校でサッカー出来ないぞ!」
「えぇっ…!?」
無茶だろー。島井さんってやっぱりドS?
「まー私に任せなさいなー。」
「?」
「受験が終わったら特訓してやるー。」
「…どんな?…です?」
「兄貴直伝の…なんとかトレーニング?」
お兄さん?天国にいるという?
「そのときはよろしくね。」
どうせ酔ってるし、覚えていないだろう。
覚えていてくれたとしたら、それでも万歳だ。
「期待しとけー。げふっ…」
「酒臭っ!!」
「えへへ~」
特訓よりも先にまず、この山を制覇してからだな。
「どぉりゃぁぁ~~~!!」
「ゴーゴー!!」
結局ギブアップした僕が自転車を押して、島井さんには三分の一ほど歩いてもらった。
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