僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
「ごーかく?」
島井さんがつぶやく。
張り出された掲示板から、僕の受験番号を見つけ出す。
ウォーリーを探すよりは簡単そうな作業。
Yes?No?
どっちだ?
Yes?No?Yes?No?Y/N?
「発見。合格おめでとう。」
「うそ、自分で見つけたかった…。」
僕は落胆し膝に手をつけて、うつむく。
フリをする。
感無量。
溢れる涙。
島井さんには泣き顔を見せたくない。
達成感が嬉しさと共にこみ上げる。
そして思い出したかのように、あとからあとから湧き出る水のような感謝の心。
ありがとう。
ありがとう。
なんかもうよくわかんないけどありがとう。
でも、コレで終わりじゃない。
ここで終わりならこんなに頑張れなかった。
島井さんがここに来るから。
島井さんがサッカー部のマネージャーをするから。
そこでサッカーがしたいから。
僕は頑張ってきた。
だからこれからも頑張らなくちゃ。
Q,頑張れますか?
Y/N?
迷うわけも無く僕は答えられる。
Yes.
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