僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
「おい!女子マネ!!ミーティングに五分も遅刻するたぁいい度胸じゃねぇかぁ!!」
「すっすいませんっ!」
早くも涙目の女子マネ。
「すいませんでした。」
いたって無表情の島井。
「もしも重要な案件だったらどうする!?遅れるような奴は要らんぞ!!」
「ひっく…ひっく…!」
「泣くなぁっ!!」
喝を入れる。
「遅れた理由を言ってみろ。どうせぺちゃくちゃしゃべってたんだろう?」
「すいませ…」
「もう辞めていいぞぉ?」
「グスッ…」
走り去る女子マネ。
ギブアップですか…。
「島井、お前は?」
「部室の掃除をしていました。」
「本当かぁ?」
「本当です。あそこは一週間掃除しないと、きっときのこが生えますよ。」
冗談言ってる場合じゃないぞぉ!島井。
「ふざけてんじゃねぇ!」
「じゃあコレ見てくださいよ。」
島井の差し出したビニール袋の中にはきのこが入っていた。
「処分しに行く途中だったんです。」
「くさっ!!これはまさしくサッカー部室産のきのこだ!」
「産地直送です。採れたてです。新鮮です。」
「くさいからどっかにしまえ!」
「はい。」
「よし。もういい。仕事に戻れ。」
「あの、先輩。」
「何だ?」
「きのこの処分は…?」
「焼いて食え!!」
平坂先輩はその場を後にした。
「すげぇーまた平坂を返り討ちにしたぞ。」
「島井・・・あいつ、只者じゃないぞ。」
島井の株が上がっていっているのを感じた。


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