僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
朝練が始まった。
「ほら!片町!!走り出しが遅い!!」
「はい!!」
「そこで足からボールが離れてるぞ!」
「はい!!」
「パスが弱い!そんなんじゃあ高校の強いところには通じない!」
「はい!!」
もう揉まれてます。
死ぬくらい。
でも、自分でうまくなっていくような気がするから、楽しい。
でも…
「片町!」
「はい!!」
「顔洗ってきてもいいぞ。」
「失礼しました!!」
授業中に疲れがくる。
寝てしまう。
特に数学。
それと英語。古典も現代文も。日本史も。音楽の授業も。
ってか、いつも眠たい。
ある日の帰り道。
英語で言うと、A day in the go home way。のはず。多分違う。
「最近疲れてるんじゃない?洒冴君。」
「あーそうだね。ふわぁぁ…!!っくーー!!」
「今も眠たいんだ。大変そうだこと。」
「あーゴメンゴメン。」
「すぐに『あー』って伸ばす。オヤジ臭いよ。」
「すまぬ。」
「何ソレ?」
「藤堂先輩の真似。」
「似てる(笑)。失礼だけど(笑)。」
「承知。」
「クススッ…!」
「そっちも大変そうだし。僕は大丈夫だよ。入学前に島井が特訓してくれたからね。」
「兄貴式のね。」
「兄貴…ね。」
そういえば、子供のころ。
キーホルダーの鎖を友達と取り合ったことがあるのを思い出した。
あのときにその友達のお兄ちゃんが僕にもその鎖をくれたっけな。
それから母さんにお兄ちゃんが欲しいって言い出したんだ。
それよりなんであの鎖を欲しがったのだろうか?
「洒冴君?」
「ん?」
「寝てた?」
「うん。…って、いや。違う違う!」
「ふーん…。」
「寝てなんか無いってば!!」
「ZZZ…」
「ねぇってば!!」
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