僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
『ごめんなさい』
この文で許してくれるだろうか。
意外と島井は根に持つタイプだからな…。
『先ほどの車内ではとんだご無礼をいたしまして恐悦至極で』
堅苦しい!
それと恐悦至極の使い方があっているかわからない。
「うーん…どうしたものか…」
悩むことしか出来ない。
『さっきはゴメン!やっぱり疲れてるみたい。今日はゆっくり休むよ』
「違うんだよなぁ…。」
頼むかな…。
「おーい。麗しの妹君~!」
「はいはーい!!大地を蹴ってすばやいジャンプ!!やってきました妹ちゃん!!」
「メールの代筆頼むー。」
無駄な勢いの妹のアクションを無視して、本題をぶつける。
「やだー。」
「ありがとなー。って、えぇっ!?何で!?」
「自分のことは自分で出来るようになりなさい!!」
「ホァッツ!?」
「…ラスカル、森に帰るんだ…!」
「いや、その反応も何でだよ!?」
「自立しないと…いけないんだよ。」
何だその大人びた表情は。
「?」
「自分でメールくらい打てるようになりなさい。」
「…じゃあ、手伝って?」
「時給三百円。」
「金取るのかよ…?」
「うっそー♪」
何この安堵感。
「とりあえず、何があったか聞かせてね。」
「お?おぅ?おぉ。」
ホントに妹って凄いですね。
『女』に『未来』の『未』がついてるだけのことはあった。
…特に意味は無いけど。
いろいろと学んだ。
レベルアップのファンファーレとかが聞こえてきそうだ。
てれれてっててーん♪
ステータスに特に変動は無い。
しかし…『こっちも疲れてたから。こちらこそゴメンね』
耐島井メールテクニックを手に入れた。



「頑張ってね…」
妹の言葉はバカ親父の笑い声にかき消された。
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