僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
問三、『恋』とは何か?十文字以内で説明せよ
最近島井 舞を見るとドキドキする。
最近島井 舞と会話していると急に言葉が詰まる。
最近島井 舞に見つめられるとむずかゆくなる。
最近島井 舞の夢をよく見る。
これに二つ以上当てはまった僕は、島井に恋をしてしまったのだろうか?
絶対に泣くそぶりすら見せない、主に無表情の、あの島井 舞に?僕が?
どうなんだろう?
向こうは僕のことをどう思っているのか?なんて考えたりするのだけれど、もうこれはアウトだろうか?
いや、もう何がアウトで何がセーフかもわからないや。
これについて考え始めたのは9月。本格的に進路を決めていかなくてはいけない。
僕は自分の身の程をわきまえて、真園学院が妥当かと思い始めていた。
そんなある日の放課後のこと。
僕が提出に遅れた課題を居残りしたその帰り。
そんなに前のことでもないのに、懐かしく思えた部室。
僕はここに来るのも最後かもしれないと思い、感傷に浸っていたんだ。
「何だ、サイゴか?」
入ってきました島井 舞。
「サイゴだよ。」
で?どっちのサイゴ?
僕の名前の洒冴?これでラストの最後?
「何してたんだ?」
「最後のマネージャーの仕事。真紀に押し付けられた。」
さして嫌な顔には見えない島井の顔。
「…。」
沈黙に絶えられず部室の外へと出る。すると、島井もついてきた。
軽く逃げたつもりだったのに…。
どうすればいいだろうか?
「片町君…。」
「はいっ!?」
多少声が上ずったが、島井はそんなことをいちいち気にするような奴じゃない。
何故だかそんな自身を持てた。
「片町君は高校…どこ受けるの?」
「真園…あたりかな?島井は?」
聞き返すと、島井は少しハニカミながら答えた。
「星藍…の推薦。」
星藍高校!?
島井ってそんなに頭良かったっけ?そういえば中学3年間クラス同じだけど、今までそんなにしゃべってなかったんだな。
今思ったらずっと一緒だったのに知らないな。
「スゲぇんだな…。島井って。」
「そうでもないよ。片町君だってサッカーしながらでしょ?真園って星藍と並ぶ強豪だよ?」
そうだったんだ。今はじめて知った。
星藍か…ちょっとレベル上だな。
でも…島井も行くらしいし…ついでにサッカーも強い。
頑張ってみるかな…?
「何考えてるの?帰ろ?」
「あぁ?うん。おぉ、帰ろう。」
って一緒にですかぁ!?
小学生以来だ。女の子と下校なんて。
島井って顔とか結構整ってるし綺麗なんだよな…。
ただ絶対に泣かないとことかで、可愛げがないし人気が無いのか?
なんだそれ?チャンスか?
ってか気づいたらすぐそんなこと考えてるな。最近の僕は…。
やっぱりこれが恋…なのか?
「僕も星藍に志望変えようかな。」
とりあえず、島井の反応を見るぜ!
「そしたらこの中学から行くのは私と片町君の2人になるよ。」
確かに島井は絶対に泣かないし可愛げも無いかも知れないけど…。
このたまの笑顔が反則…!!
「ってか今星藍志望島井だけなんだ?」
「そーよ。真紀は何故か真園行くって言うし。」
なんかなおさら行きたくなってきたぞ!!何故か!!
「じゃ、家ここだから。ありがとね。」
「あん?じゃーな。」
「ばいばい。」
ふーっ、青春も疲れるなぁ。
さて、僕も家路に着きますかな。
「坊主、今のは彼女か?」
声をかけられたので、その方向の歩道橋を見ると久しぶりのカタさん。
「お久しぶりです。こんなところで何してるんですか?」
「俺の質問は無視かいな…。」
「いえ、彼女なんて今までいたことありませんよ。」
「じゃあ何だ?ただのオトモダチか?」
それはそれで傷つくな。
「どうでもいいでしょう。」
「ほぉう…、青春だな。」
何ですかその目線は?
「あの娘のこと…好きじゃろ?」
「わかりませんよ。」
「初恋か?」
「初めてじゃいけませんか!?」
まったくむかつく。
「やっぱり初恋か。」
あ、普通にバラしてしまった…。
「この気持ちが恋…なんでしょうか?」
カタさんなら何か答えをくれそうな気がした。
「知らん。」
そっけなかった。ちょっとショック。
「ですよねー。よくわかんないものですもん。」
「そうじゃなく、お前の気持ちは俺には一生伝わることが無いから、そんなことはわかりかねる。という意味だ。」
今度はちょっと安心。
「所詮他人は他人。相手の気持ちを考えるに越したことは無いが、自分の気持ちを相手に伝えなくては話しにならんぞ。」
おぉ、何気に名言?格言?
僕の心に刻み付けておこう。
「で?何してるんですか?カタさん。」
「何も。ここで暮らしとる。」
「…。」
「俺は俗に言うホームレスだ。」
「…。」
何故そこまで胸を張れる?
「これが今の俺だ。昔はちょっとした社長だったんだが…落ちぶれちまったよ。アハハ…。」
笑い事になりそうに無い。
「ま、とにかく頑張りなよ。」
「カタさんもね。」
ちょっとだけ、モヤモヤが晴れた気がした。
最近島井 舞と会話していると急に言葉が詰まる。
最近島井 舞に見つめられるとむずかゆくなる。
最近島井 舞の夢をよく見る。
これに二つ以上当てはまった僕は、島井に恋をしてしまったのだろうか?
絶対に泣くそぶりすら見せない、主に無表情の、あの島井 舞に?僕が?
どうなんだろう?
向こうは僕のことをどう思っているのか?なんて考えたりするのだけれど、もうこれはアウトだろうか?
いや、もう何がアウトで何がセーフかもわからないや。
これについて考え始めたのは9月。本格的に進路を決めていかなくてはいけない。
僕は自分の身の程をわきまえて、真園学院が妥当かと思い始めていた。
そんなある日の放課後のこと。
僕が提出に遅れた課題を居残りしたその帰り。
そんなに前のことでもないのに、懐かしく思えた部室。
僕はここに来るのも最後かもしれないと思い、感傷に浸っていたんだ。
「何だ、サイゴか?」
入ってきました島井 舞。
「サイゴだよ。」
で?どっちのサイゴ?
僕の名前の洒冴?これでラストの最後?
「何してたんだ?」
「最後のマネージャーの仕事。真紀に押し付けられた。」
さして嫌な顔には見えない島井の顔。
「…。」
沈黙に絶えられず部室の外へと出る。すると、島井もついてきた。
軽く逃げたつもりだったのに…。
どうすればいいだろうか?
「片町君…。」
「はいっ!?」
多少声が上ずったが、島井はそんなことをいちいち気にするような奴じゃない。
何故だかそんな自身を持てた。
「片町君は高校…どこ受けるの?」
「真園…あたりかな?島井は?」
聞き返すと、島井は少しハニカミながら答えた。
「星藍…の推薦。」
星藍高校!?
島井ってそんなに頭良かったっけ?そういえば中学3年間クラス同じだけど、今までそんなにしゃべってなかったんだな。
今思ったらずっと一緒だったのに知らないな。
「スゲぇんだな…。島井って。」
「そうでもないよ。片町君だってサッカーしながらでしょ?真園って星藍と並ぶ強豪だよ?」
そうだったんだ。今はじめて知った。
星藍か…ちょっとレベル上だな。
でも…島井も行くらしいし…ついでにサッカーも強い。
頑張ってみるかな…?
「何考えてるの?帰ろ?」
「あぁ?うん。おぉ、帰ろう。」
って一緒にですかぁ!?
小学生以来だ。女の子と下校なんて。
島井って顔とか結構整ってるし綺麗なんだよな…。
ただ絶対に泣かないとことかで、可愛げがないし人気が無いのか?
なんだそれ?チャンスか?
ってか気づいたらすぐそんなこと考えてるな。最近の僕は…。
やっぱりこれが恋…なのか?
「僕も星藍に志望変えようかな。」
とりあえず、島井の反応を見るぜ!
「そしたらこの中学から行くのは私と片町君の2人になるよ。」
確かに島井は絶対に泣かないし可愛げも無いかも知れないけど…。
このたまの笑顔が反則…!!
「ってか今星藍志望島井だけなんだ?」
「そーよ。真紀は何故か真園行くって言うし。」
なんかなおさら行きたくなってきたぞ!!何故か!!
「じゃ、家ここだから。ありがとね。」
「あん?じゃーな。」
「ばいばい。」
ふーっ、青春も疲れるなぁ。
さて、僕も家路に着きますかな。
「坊主、今のは彼女か?」
声をかけられたので、その方向の歩道橋を見ると久しぶりのカタさん。
「お久しぶりです。こんなところで何してるんですか?」
「俺の質問は無視かいな…。」
「いえ、彼女なんて今までいたことありませんよ。」
「じゃあ何だ?ただのオトモダチか?」
それはそれで傷つくな。
「どうでもいいでしょう。」
「ほぉう…、青春だな。」
何ですかその目線は?
「あの娘のこと…好きじゃろ?」
「わかりませんよ。」
「初恋か?」
「初めてじゃいけませんか!?」
まったくむかつく。
「やっぱり初恋か。」
あ、普通にバラしてしまった…。
「この気持ちが恋…なんでしょうか?」
カタさんなら何か答えをくれそうな気がした。
「知らん。」
そっけなかった。ちょっとショック。
「ですよねー。よくわかんないものですもん。」
「そうじゃなく、お前の気持ちは俺には一生伝わることが無いから、そんなことはわかりかねる。という意味だ。」
今度はちょっと安心。
「所詮他人は他人。相手の気持ちを考えるに越したことは無いが、自分の気持ちを相手に伝えなくては話しにならんぞ。」
おぉ、何気に名言?格言?
僕の心に刻み付けておこう。
「で?何してるんですか?カタさん。」
「何も。ここで暮らしとる。」
「…。」
「俺は俗に言うホームレスだ。」
「…。」
何故そこまで胸を張れる?
「これが今の俺だ。昔はちょっとした社長だったんだが…落ちぶれちまったよ。アハハ…。」
笑い事になりそうに無い。
「ま、とにかく頑張りなよ。」
「カタさんもね。」
ちょっとだけ、モヤモヤが晴れた気がした。