僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
問十三、勝つのはどっちだ?愚問だな。
決戦の日。
真園学院は、星藍と並ぶサッカー強豪校。
真園学院グラウンドに八時に集合。
現在7時30分。現在俺はコンビニに来ていた。
「朝っぱらからコンビニ…不良か?」
「今日もアルバイトですか。カタさん。」
久しぶりだ。
「そうか、サッカーの大会かぁ。頑張れよ。」
「はい。」
「何のために頑張るか。たまには考えろよ。」
「はーい。」
よし、変なやる気スイッチをしっかり入れたし。
勝ちに行きましょうかね…。


プシュッ!
紅茶〇伝の缶を開ける。
先ほどコンビニで買ったものだ。
「リラックスしていけよー。」
監督が言う。
椎名先輩はリフィティングをしている。
軽々とすごいテクニックを魅せつけてくれる。
平坂先輩はコンビニおにぎりをガツガツ食べてる。トリコかよ。
素直先輩は眠そうだ。
思い思いのことをして、部員全員が完璧にリラックス出来ている。
きっと『緊張』っていう単語を知らないんだな。
監督の助言の意味なし。
「先輩、お茶です。って、ちべたっ!!」
「ボール何個だ?」
「おーい、ボード板どこ置いた?」
混乱している。
一年生の女子マネ(島井1人)代わりの奴等がわぁわぁ言ってる。
目にかかるようになった前髪を軽くどけて、ちょっと手伝う。
別に島井のことをずっと見ていたから覚えてたわけじゃあない。
ホラ…部員としてアレじゃん?
そこのところはしっかり把握しとかなきゃじゃん?
自分で自分をツンデレか?とつっこみつつ、試合のときが刻一刻と近づいてくる。
ストレッチも終えて、ぴりぴりと緊張感が漂い始める。
まだ島井の姿は確認できない。
「俺を…観に…か。」
昨日の電話を思い出す。
俺の努力の成果。魅せまくってやる。
だから早く来い。
「片町…ちょっといいか?」
何?椎名先輩か。
恋愛のこと?こっちも聞きたいくらいですよ。
「なんですか?椎名先輩。」
「来年は、副キャプテンを頼んだぞ。」
「…いきなりッスね…。」
ホントにいきなりだ。
「でもそれだと、今の二年生の先輩が…。」
「認められるほど上手くなれ。」
「でも…」
「お前に引っ張って行って欲しいと思っている。」
「…わかりました。」
「よし、まずは今日だ。楽しもう。」
「はい!」
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