僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
問四、初詣に誘われた。貴方はどうする?
一緒に初詣行かない?
この短いメールがいかに僕を悩ませたことか。
クリスマスパーティを、家族のみで過ごした僕は翌日のこのメールに、どう返信したらいいものか、30分ほど悩んでいた。
(おいおいおいおいおい?どーなってんだ?どーなんだ?)
『OK!!じゃあ、何時にどこで待ち合わせする?』
…こんなもんか?それとも、
『了解』
これは味気無いな…。
『らじゃー!!』
元気だな、おい。
「くそ…わかんね。」
救世主は少し遅れてやってくる。…正確にはHEROか?
「兄ちゃんさっきからうなり声五月蝿い!!」
「ブベッ!!」
頚椎に食らった妹の一撃に気持ち悪い声が出る。
「何してんのん?」
衝撃に落としたケータイを妹が滑らかに奪う。
慣れた手つきでスマホを扱う。
「おい、ちょっと待て。何でお前がそんなスムーズにスマホ扱えるんだ?」
「これ毎日使ってりゃあ、出来るようになるわな。」
「ヲヰ!!」
変な発音で突っ込んでしまう。
「勝手に使ってんじゃねぇよ!!」
「何これ?もしかしてもしかする?」
見られたっ!?
「死ねっ!!」
ケータイ奪取。見たな?見られたな?どうする?コイツ消してやろうか?
アポトキシン3869とかそんな感じの名前の毒薬を準備しようと思っていると、
「返事の出し方に迷っている…つまり、まだ付き合っては無い。」
「…。」
「そして兄ちゃんは気がある。そしてこの誘い。向こうに気があるか無いかでも悩んでいる。」
「でも…、」
「黙れぃ!!」
「はい…。」
「正解だってことはわかった。」
妹のこの推理力が怖い…。
下手に秀才の我が妹…。
「兄ちゃん、行きなさい。一緒に日の出見て、『俺…お前が好きだ。』『私もよ!洒冴君!!』『お前!!』『洒冴君!!』重なり合う2人の体…新年と共に新しい二人の物語が、今始まる…。」
「(うぜぇ…)島井は『洒冴君!!』なんて言わねぇよ。」
「ほぉう…島井舞ちゃん。会ってみたいな…。」
「また勝手に見るな!!」
いつの間にか盗られていたケータイを取り返す。
「きっと可愛いんだろうなぁ…。島井…舞…はぁ…。」
何思う!?
「名前から想像してみよう…。舞…黒髪ロング。」
黒髪だがロングではない。ショートだ。よく似合っている。
「…う~ん、笑顔が似合う…。」
似合わない奴いるのかよ?まあ、メチャ可愛くてあまり顔見てられないんだけどな…。
あまり笑わないし…。
相撲にたとえれば…、って相撲にはたとえられねぇっ!!
「ま~任せなさい!お兄ちゃん!!」
断れない…僕はもしかしたら女子の笑顔全部に弱いのかも知れない…。
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