僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
時刻は午後7時。
早すぎた…。
メールでも送ろうか、電話でもいいのだろうか?
さて、どうしたものか。
夕飯は食べたが、小腹が空く可能性があるな…、買いに行こうか。
24時間営業のコンビニは、大晦日でも開店中。
母さんからの軍資金で、お菓子とか小さいものを買っておこう。
カイロとかも必要かな?
板チョコと…マーブルチョコと…。
「あとは…、おぉ!懐かしい、輪投げチョコ。買いだ。」
よくよく考えればチョコしか買っていないな。でも、雪山で遭難しても助かりそうだな。
なんてどうでも良いことを考えていた。
チョコが8割、1割ガム。それとカイロのカゴをレジへと運ぶ。
「坊主、食いすぎて鼻血出すなよ。」
そこには、カタさんがいた。
「…!?久しぶりです。」
「何だよ、そのリアクションは?」
「いや…驚いたんです。」
「見れば判る。」
「じゃあ何で聞いたんですか?」
「ノリだよ。」
…カタさんって何歳なのだろうか。
見た目だと50代と言われても納得できる。
でも言葉遣いとか、そういうところでは意外と若そうだ。
「何だ?その目は?バイトしてんだ。また今度話してやる。」
「はい、頑張ってください。」
コンビニを出る。
すでに日は沈んでおり、暗闇が広がりつつある。
腕時計を見ると、コンビニで1時間過ごしていたという事実が解る。
「チョコまみれだな。」
よく意味の解らない独り言を吐く。
まみれてないし、チョコだけでもないし。
まあ、そろそろ連絡とってもいいかな?
島井さんは準備しているだろうか?
僕は張り切りすぎていないだろうか?
ちょっと…いや、それなりに不安。
ヴァ~~!ヴァ~~!
適度に気持ち悪い振動。
メールだ。
島井さんからか?
「妹か…。」
何だこの失望の念は…。
どれだけ僕は期待してんだ?
本文を開くと、
『ぐっど らっく♪』
背中が少しかゆくなる感覚。
返信『黙れ』
またメールが来た。
『準備できた?』
島井さんキターーーーーーーッ!!
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