The world is changed story
ごくり、と、彼の喉が動いたのが見えた。
少し喉仏が出てて、私よりも太い首。
人と接するの、苦手だと思ってたけど、
なんだか妙な安心感に包まれた。
「俺、紅茶好きなんだけどさ…。」
カップを口から離したクラルテがお茶の香りを飲んだ。
気に入らなかった、かな。
紅茶の方がよかったかな。
でも私紅茶好きじゃない。
とか、一瞬でいろいろ考えてしまう。
でも、
「今まで飲んだお茶の中でこれ一番うまい!
なんて名前の葉?」
人と話すことが少し怖かった私にとって、
その笑顔だけで充分だった。
今日初めて会った人だけど、
臆病になってた私を安堵させてくれるには。
「これ、自己栽培なんです。
庭に偶然生えてきた草で、香りがとてもよかったから。」
もう何年か住んでいるのに、
自分の家の木の香りがした気がした。
お茶の香り、少しの木の香り、
そして、きっと、少し甘いにおいがするのは、きっと彼。