The world is changed story





ごくり、と、彼の喉が動いたのが見えた。

少し喉仏が出てて、私よりも太い首。


人と接するの、苦手だと思ってたけど、

なんだか妙な安心感に包まれた。



「俺、紅茶好きなんだけどさ…。」



カップを口から離したクラルテがお茶の香りを飲んだ。


気に入らなかった、かな。

紅茶の方がよかったかな。

でも私紅茶好きじゃない。


とか、一瞬でいろいろ考えてしまう。

でも、



「今まで飲んだお茶の中でこれ一番うまい!

なんて名前の葉?」



人と話すことが少し怖かった私にとって、

その笑顔だけで充分だった。


今日初めて会った人だけど、

臆病になってた私を安堵させてくれるには。



「これ、自己栽培なんです。

庭に偶然生えてきた草で、香りがとてもよかったから。」



もう何年か住んでいるのに、

自分の家の木の香りがした気がした。


お茶の香り、少しの木の香り、

そして、きっと、少し甘いにおいがするのは、きっと彼。






< 14 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop