The world is changed story
白の景色
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「わ、すごい…」
点々と、まだらに光る家の星。
空よりも少ない星の数。
戦争が起こる前は、空よりも地上の方が星の数は多かったんだろうか。
「この景色は、俺の自慢。」
私の庭を自慢した仕返しだろうか。
柵に腕をかけながら、遠くを見つめて彼は言った。
夜の静かな風が、降ろした私の髪を揺らす。
その風には、わずかだが、悲しみのにおいが含まれていた。
あれから私はなぜか、クラルテに連れられて、
プロテッツィオーネ国、王都ウィンドの王城にいる。
知り合ったばかりの人についていくのも気がひけたが、
彼からは悪い気を感じなかった。
そして何より、私の好きな香りを纏っていた。
好き、って言うより、優しい、安心する香り。
…でもまさか、王子様だったなんて。
俺も自慢したいものがある、って言われてついてきたら。
まさか王城のテラスからみた夜景なんて想像もしなかった。
想像する人なんかいないだろう。
そして私はまたなぜか客間へ案内され、今に至る。
この部屋から眺める景色が一番綺麗らしい。