The world is changed story
こうしてあの丘よりも高いところから夜景を見ると、
ちゃんとみんな生きてるんだ、って、
みんな必死に暮らしてるんだ、って。
なんだか涙が出そうになる。
なんで今まで自分は、人の事を見ようとしなかったんだろうか。
「失礼します。」
コンコン、と客間の扉が鳴り、
広い部屋に男の人と女の人が入ってきた。
格好からして、召使いの方々じゃないみたい。
「え、と。はじめまして。デイムです。」
本日2度目の、慣れない自己紹介をする。
他に何を言っていいのかわからなくて、言葉に詰まると、
「はじめまして。クラルテ王子の側近、リュンヌです。」
リュンヌ、さん…。
人をたくさん見たことがあるわけではないけれど、
今まで出会った中で、たぶん一番綺麗女の人。
柔らかそうな髪を耳にかける仕草に、少し見とれてしまった。
「こっちはヴェルト、夫です。」
おっ、お…っ!?夫!?
まだ若そうに見えたのに、結婚してるんだ…。
結婚なんて、考えたこともなかった。
好きになった人と、ずっと一緒にいるのって、どんな感じなんだろう。