The world is changed story
少し間をおいて、自分の手に温かいものが触れる。
じわりと伝わる熱で、ちゃんと感覚はあるんだって安心する。
「薬、飲める?」
ガタン、という音と気配でクラルテが座ったのがわかった。
「ん、」
短く返事をして、手を少し強く握る。
それが合図になって、私の口元に少し苦い液体が運ばれる。
唇から流れ落ちる滴の感覚を無視して、
どうにか喉を上下して飲み下す。
10秒とたたずに、ひどい眠気が襲ってくる。
睡眠薬が入ってたのかもしれない。
即効性にしても程があるってくらいの効き目。
握った手の力が弱まっていく。
そして意識は深い谷におちていった。
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「息ができない、苦しい。」
「痛いよ、助けて。」
「最期に、笑顔が見たかったなぁ。」
「どうして私が死ぬの?」
「希望なんて、ない。」