The world is changed story





少し間をおいて、自分の手に温かいものが触れる。

じわりと伝わる熱で、ちゃんと感覚はあるんだって安心する。



「薬、飲める?」



ガタン、という音と気配でクラルテが座ったのがわかった。



「ん、」



短く返事をして、手を少し強く握る。

それが合図になって、私の口元に少し苦い液体が運ばれる。


唇から流れ落ちる滴の感覚を無視して、

どうにか喉を上下して飲み下す。


10秒とたたずに、ひどい眠気が襲ってくる。

睡眠薬が入ってたのかもしれない。

即効性にしても程があるってくらいの効き目。


握った手の力が弱まっていく。


そして意識は深い谷におちていった。




---


「息ができない、苦しい。」


「痛いよ、助けて。」


「最期に、笑顔が見たかったなぁ。」


「どうして私が死ぬの?」


「希望なんて、ない。」






< 27 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop