seven kisses
ん? あれっ?

誰かが私の手首を引っ張っている。

薄れて行く意識の中、しっかりと力強く掴まれているのがわかる。



「おい、琴美!しっかりしろ!お前、血ぃ、出てんじゃん!大丈夫か?」



風太の声だ。

あぁ、良かった。

やっぱり助けに来てくれたんだ..........



ホッとしたら、僅かに残っていた体の力が一気に抜けた。

脱力状態のまま、ボードに乗せられ、風太の顔を見たら涙が出て来た。



「てめぇ、ふざけんなよ!!」



普段は穏やかな風太が、凄い形相で睨みつけ、怒鳴っている。

その姿に怖じ気付いたのか、さっきの男は決まり悪そうな顔をして、サッサと退散して行ってしまった。



私、バカだな。

無茶するからだ。

つまんないことで、風太に余計な心配かけちゃった.......



幸い、額の傷はそれほど深くなかった。

すぐにライフガードに治療してもらい、今日はもう諦めて上がることにした。

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