恋の行方〜甘い約束〜
泣きやんで落ち着いた頃にふと思い出した。




先生、ピアノのレッスンは大丈夫なのかな?




手で涙を拭って、両手で鍵盤を弾くように示す。





『あっ!そろそろ時間だったわ!
今日こそはこの曲弾けるようになりたいのよね。』




手提げ鞄を見せて意気込む先生は、私を見てまたペロッと舌をだして寂しげに笑った。





『雨宮さんに偉そうな事言っちゃったけど、私もね片思いの相手には中々想い伝えられないんだ…


だからね、アイツの好きだといったこの曲弾いて、キモチに気づいてもらおうかなって…』




少しだけ頬を染めて話す先生に、頑張ってと口を動かす。





『雨宮さんもね!』





そうして病室を出て行った先生と入れ替わりにお母さんがやって来た。




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