コンプレックス
「あ、尾上さん書類!」
旅行から帰ってきてまだ10日も経ってないというのに…何か吸い寄せられる感もあった。
「…じゃそういうわけで。お疲れさん」
「お疲れ様でした…」
任務完了…
本当疲れた…。
うちの会社は女がほとんどだけれど、取引先は男も多い…。
平常心を繕って顔で笑ってても、仕事が終わったら…ボロボロ泣くのだ。
「ちょっと、どいてください」
「…?」
どこからか声がした。
「ドアが開かないんだよ!」
「え!?あ…」
私がいたのは路地裏の、お店の勝手口のとこだった…
いや、気がつかず…
「ごめんなさい、私気がつかなくて…」
「…………」
これまた失態をさらしてしまった…
ん?
「あ、あの時の!」
「またあんたかよ、まだ旅行してんのかよ、いい身分だな」
「違います!今日は出張でたまたまここに…」
「こんな路地裏で泣く出張ってどんなだよ?」