コンプレックス

「……えっ!?」

「……………」



これは…神様のいたずらなのか…それとも…



「私の席…隣…」

「…うそだろ?」

「本当だよ!ほらっ…」

「……………」



それは…まさかのタケルだった。



「なんでだよ…」

「…悪かったねぇ、また隣で。私だって…びっくりだよ…」



だけど…ちょっとほっとしている。どこぞの知らない男じゃなくて。



「…なんで沖縄に?」

「なんだっていいだろ」

「…そうですか!」

「…南国料理のお勉強だ。ジェニファーの命令で。おまえこそなんで…」

「…克服旅行だよ。また昔みたいに」

「…なんで福岡空港から?」

「それはっ…なんだっていいでしょ!」



…実は最初はためらい、いったん電車で福岡まで来ていたのだ…。





「失礼しま~す」



もう片方のタケルの隣の席に、女の人が来た。

ちょっと…大丈夫なの?タケル…



「…大丈夫?」

「……………」

「なぁに?もしかして高所恐怖症とか?あはは、かっわい~」

「……………」

「……………」



< 102 / 123 >

この作品をシェア

pagetop