コンプレックス
全然こっち見ないくせに気づいてたのかよ…。
「私もっ…行き先こっちだもん!」
「あっそ…」
「…?」
なんかタケル…肩がふるえてる…?
「うわっ…」
顔を覗き込んでみた。
「なんだよ、こっち見んな…」
「…どうしたの?タケル」
タケルは…笑ってた。
「何?何かいいことあった?」
久しぶりにタケルの笑った顔を見れて嬉しくなって、避けても避けても覗き込んで見た。
「やめろって…くくっ」
「なんなの?」
「おまえのさっきの顔…」
「え?」
「思いだすとおかしくて…くくくっ」
「顔…?」
さっきっていつ…
はっ、もしかして…
「タケルー」
「ぶっ…はははっやめろって」
「これぇ!?これで…ずっと笑ってたの!?」
それは…席を変わる時に合図でウインクした顔だった。
「ひどいっ、そんなにおかしい!?」
「すげぇおかしいよ」
「もうっ!」
なによ失礼なー!
…でもやっぱり嬉しいかも。
席を変わったのはタケルのためでもあったけど…
私がなんか嫌だった。