コンプレックス
「隣に来たやつがおまえでよかったよ」
「え…?」
声小さかったけど…今なんか嬉しいこと言ってくれた?
「あ!?」
「何…!?」
「…俺が乗るバス行っちまった」
「ありゃあ…」
「おまえがヘンな顔して笑わすからだぞ!」
「なっ…人のせいにしないでよー」
「はぁ…次まで3時間もある…」
タケルは歩きだした。
「…どこ行くの?」
「さんぽ」
「そう…。わ、私は…どうしようかな本当は行き先決めてないんだ…途方に暮れちゃうなぁ」
「あっそ」
「…って、ちょっと冷たすぎない!?」
「え?俺関係ねぇもん」
「そっ…そうだけどさぁ……」
「途中まで一緒に行くか」
「…行く!」
「何だよ嬉しそうに」
「べつにっ…」
だって…嬉しいんだもん。
半年前、あんな別れ方して…もうこんな日は来ないと思ってた。
…タケルは相変わらずこっちは見てくれないけどね。
そして相変わらず黙々と…
「あの~…タケルさん、私たちどこへ向かってるんでしょう?」