コンプレックス

「あ…嫌ならいいけど!ひとりで行くからっ…」



どさくさ紛れに誘っちゃったけど、私たちべつに一緒に旅してるわけじゃなかった…。
それにタケルはのんびり旅行ってわけじゃないしいい迷惑…



「おい、海あっちじゃねぇか?」

「え!?」



あらら…。私逆に行こうとしてたみたい…。



「…ったく、行くぞ」

「一緒に行ってくれるの?」

「…どうせまだ時間あるし、おまえひとりじゃ辿り着くの正月になりそう」

「な…なによそれっ」



…憎まれ口も、なんか嬉しい。事件前に戻った気がして…。






だんだん、海が見えてくると私は興奮してきた。



「うわぁ…、本物だ」

「は?…あ、おいっ」



沖縄の海、一度来てみたかたったんだ…!
私は海へとかけていった。もうすぐ三十路がなんだ。私は童心に返り大はしゃぎ。



「やっぱ綺麗…テレビでしか見たことなかったけど本当綺麗!」



スニーカーを脱ぎ捨て、足だけつかりに行った。



「おい…気をつけろよ」

「大丈夫大丈夫、きゃはははは…あっ…うわぁああっ」



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