コンプレックス

は…はしゃぎすぎた~。波に足をとられザボーン…



「大丈夫か!?」



タケルが血相を変えて飛んできた。



「だから言っただろ!」

「う…だってさぁ…」



怒られたぁ…。



海からあがる時、タケルが手を引いてくれた。


…無理してるんじゃないかと思い、海から出ると私はすぐにタケルの手を振り払った。



「あ…悪い…」

「ごめんねっ!」

「…何が」

「だって…無理させちゃって…」

「は?…無理なんかしてねぇよ。おまえこそ…悪かったな」

「…え?何が?」

「……………」

「……………」



お互い気を遣い合って…また沈黙。


事件前に戻れた…気がしてただけでやっぱり私たち…



「もう…戻れないのかな…」

「……………」



…ん?



…何?



タケルはじいっとこっちを見ている。


なんか…今までそらされてたのに、なんか…



「…?」

「覚悟しろよ、もう…目ぇ離さねぇ」

「えっ…!?」

「…早く着替えようぜ。ったく、びしょびしょだ」

「あ…そうだね…ごめんね本当…」



…何だったの?今の…。



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