コンプレックス
私たちは海浜公園の公衆トイレで着替えてから、時間がくるまで、と今度はおとなしく砂浜に座った。
…こうやって海を眺めてばかり過ごしてた時期もあったっけ。
でもあの時の海と今この海は全然違う。
「あ、星の砂みっけ!」
「え、どれ!?」
「これ」
「おわぁ…本当にあるんだな。俺も探してみよ」
緩やかに時間は過ぎていったけど…
「ねぇ…。さっきのあれ…何?」
「え?何だっけ」
「ほらっ…覚悟しろって…」
「ああ…」
「……?」
…あれ、きかないほうがよかった…?
タケルは黙ってしまった。
話そらすか…
「あ…あー!またみっけ!星の砂」
「…もう逃げるのやめようと思って」
「え…?」
「悪かった…な」
「…何が?」
「…おまえ勘違いしてただろ」
「えっ何を?」
「俺のほうが傷ついたーとか、ばかじゃねぇの?…俺見てねぇからな!」
「…ジェニファーさんから聞いたんだ…」
「俺がおまえのこと見れなくなってたのは…逃げてたんだ」
「え…?」