コンプレックス

「俺…あの時そばにいながらおまえのこと守ってやれなくて悔しくて…情けなく…」

「タケル何言って…」

「だからおまえのこと見るとそんな思いが強くなって…苦しくなって…た。勝手だよな、一番つらかったのはおまえなのに…悪かった」



タケル…



「……………」

「…泣くなよ」

「泣いてないっ…潮風がしみただけっ…」



タケル…そんな思いでいたなんて…



「私も…わかってなかった…ごめんね。でも違うから」

「え?」

「私はタケルがいてくれたからよかったって…思ってるよ。あの時も…いつだって…。だから自分のこと責めないで」

「……………」

「…泣かないでよ」

「泣いてねぇよ!あーあ」



タケルは立ち上がり、背伸びをした。



「…あ、時間大丈夫?」

「え?…やべぇあと20分だ」

「ええ!?早く戻んなきゃ…道覚えてる?」

「いや…」

「ええっ!?」

「なんとかなるだろ、急ごうっ」





…けれど、焦ってパニクってタケルまでも方向音痴になり、見覚えのない道に差し掛かったり…



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