コンプレックス
「……………」
「ごめんね…。私のせいで喧嘩になるなら私来ないほうがよかったね…」
「何言ってんだばか」
「ばっ…」
あ…
タケル…やっとちょっと笑ってくれた。
「…よかった無事で」
「し…心配しすぎなんだよっ、私そんなに信用ない!?」
あれ?…嬉しいくせに裏腹な言葉が出てきた。
「あんなことがあったらそりゃ心配するだろ」
「あんなこと?何だっけ。…私はもう忘れたいの!」
「…ごめん。そうだよな…」
「あ…違う、謝らないで、忘れたいのはタケルだって同じだよね…」
「……………」
なんでこんな…
「…やっぱり私たち一緒にいないほうがいいのかな…。事件のこと忘れるためにも…」
「…やだ」
「え…?」
「忘れるなんて記憶喪失にでもなんなきゃ無理なんだよ。だったら俺は…」
「……なに」
タケルは髪の毛をくしゃくしゃしている。
「…帰っておまえがいなかったらやだなって思った…んだ」