コンプレックス

「……………」

「ごめんね…。私のせいで喧嘩になるなら私来ないほうがよかったね…」

「何言ってんだばか」

「ばっ…」



あ…



タケル…やっとちょっと笑ってくれた。





「…よかった無事で」

「し…心配しすぎなんだよっ、私そんなに信用ない!?」



あれ?…嬉しいくせに裏腹な言葉が出てきた。



「あんなことがあったらそりゃ心配するだろ」

「あんなこと?何だっけ。…私はもう忘れたいの!」

「…ごめん。そうだよな…」

「あ…違う、謝らないで、忘れたいのはタケルだって同じだよね…」

「……………」



なんでこんな…



「…やっぱり私たち一緒にいないほうがいいのかな…。事件のこと忘れるためにも…」

「…やだ」

「え…?」

「忘れるなんて記憶喪失にでもなんなきゃ無理なんだよ。だったら俺は…」

「……なに」



タケルは髪の毛をくしゃくしゃしている。



「…帰っておまえがいなかったらやだなって思った…んだ」



< 116 / 123 >

この作品をシェア

pagetop