コンプレックス
「私帰ります」
「えっ何言ってんの!まさるさんせっかく来てくださってるのに」
「私はお見合いなんてする気ないですから!」
ええい、逃げろっ。
「あっ、こら、ユカ!」
「嫌われてますね、僕」
「どうもすみません…違うんです、実はあの子……」
追っかけて…
来なかった。
「ほっ…」
菊江おばちゃんがあんなに横暴な人だとは思わなかった。
さて…
会社に戻ろうにも、まだおばちゃんたちがウロウロしてるかもしれないし…
帰っても押しかけてきたら嫌だし…
駅前のショッピングモールで時間をつぶすことにした。
特に欲しいものなんてなかった。ひたすらぶらぶらと…
「あっ…!」
あるものを発見した私は走りだした。
「タケル!」
まさかこんなところにいるなんて…
「はい?」
「あ…、すみません人違いでした…」
びっくりした…
…いるはずないか。
遠くから見たらよく似てた。
タケル…どうしてるかな…
あれ?