コンプレックス
ひぃぃ…。
どんな金持ちでもこいつは嫌だ…!
「あなたがただつきまとってるだけじゃないですか…!」
「そんなことない。君はいつか僕には心開いてくれるって信じてる」
何なのこいつ…おかしい!
もう…嫌だ!
「あっ待ってユカさ~ん」
こんな日々がもうひと月になろうか…
いい大人が街中を追いかけごっこ…。
休みの日は外に出ない。
会社に行くのももう嫌になってきた…。
毎日逃げきってはいるけれど…
いつうちの場所がわかり、来てしまうかもわからない…
もう、毎日が恐怖しかなくなっていた。
そして数日後、とうとう恐れていたその日がやってきた。
「やっと追いつけた。へぇ、ここがユカさんの部屋かぁ」
もう…だめだ。
ここにはいられない…。
「あ、待てよ!」
「近づかないで!大声出しますよ!」
「やだなぁ、僕はユカさんの身を案じてるんです。こんな時間にまた出かけるんですか?」