コンプレックス

「そりゃ元々はそうかもしれないけど、みんな心は乙女だもん。居心地いいの!」

「じゃ店にいろよ。なんで俺と一緒に裏方やってんだよ?」

「だってお店は男のお客さんが来るじゃない」

「あのなぁ、俺だって男だぞ」

「へ?」

「…何びっくりしてんだよ?」

「だって…ううん、なんでもないっ」



オカマだと思った…なんて言えない。


考えてみても、どう見てもオカマには見えないね。何考えてたんだろう私…



「何ニタニタしてんだよ?」

「えっ!?なっなんでもないよー、ははははは」

「…?」




…じゃあなんでタケルはこうして一緒にいても平気なんだろ?


はっ…もしかして、オカマじゃなくてオナベ!?実は女の子だとか!?だから女が嫌い…ん?逆か?あれれ?



「おい、こぼれてるぞ!」

「ああっごめんなさいっ…」

「何考えてんだよ、おまえ…」

「へへ…」






タケルの正体はともかく、ここに逃げてきて、私は穏やかに暮らしている。




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