コンプレックス

追っかけてくるストーカー男はいないし、結婚結婚ってうるさくも言われない。
平和そのもの!



ここではみんな優しい。



向こうでどんな騒ぎになっていようが心配していようが…
もう、知らない。
帰りたくない。



とは言っても…




「あら、うちはいつまで居たっていいのよ」

「でも…お給料までいただいちゃって」

「当然でしょ、ユカちゃん働いてくれてるんだもの。それにタケルちゃんのためにもユカちゃんが居てくれたほうがいいのよ」

「え、嫌みたいですけど…」

「そうかしら?私にはそんなふうには見えないけど」

「毎日ぼやいてます。女は嫌いだって」

「まぁそうなの?…あの子の女嫌いはね、あの子の母親に原因があるの」




このお店の店長のジェニファーさんは、タケルの叔父さんだそう。



タケルは女手ひとつで育てられていたのだけど、幼児期にその母親に虐待され、少年時代は児童養護施設で過ごしたと…。
けれどそこでも上の女の子にひどいいじめを受け続け、たえられず施設を抜け出し母親の元へ帰ったら…



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