コンプレックス
近づく恐怖の影
「やだ…これどこに?」
「街の至る所に張ってあったぞ。まさかこの街がピンポイントじゃないだろうからきっと全国に…」
「どうしよう…帰りたくない、帰ったら私またあの人に…」
「お母さんに話だけでもしてごらんなさいよ。自分の気持ちと、とりあえず元気にしてるからこういうことはしないでって、ね」
「はい…」
ジェニファーさんに背中をおしてもらい、失踪してから初めて親に連絡してみた。
そして自分の気持ちを話した。
『わかってるわ。縁談のことはもういいから帰ってきなさい』
「あの人は…加藤さんはわかってくれたな?」
『菊江おばちゃんも何も言ってこないし、大丈夫なんじゃない?』
「そう、よかった…。でも、もう少しこっちにいていいかな。私は元気でいるから!」
『…じゃあ、まめに連絡ちょうだいよ。こっちもする。新しいの、この番号ね』
ほっ…
これにて一件落着。
…とはいかなかった。
「あれ、ユカちゃんまだ帰ってきてないの?」