コンプレックス
一寸たりとも聞かず、警察署に辿り着いた。
「ほら、一緒に行くぞ!」
「なんでですか!?違うって言ってるじゃないですか!」
「つべこべ言わない!ほら降りろ!」
運転手は私の腕を掴み、引きずり降ろそうとした。
「いやっ触らないで!痴漢!ちかーん!」
「君っ何言って…違いますって!この人が無銭乗車を…!」
外でもめている私たちのところへ、警察官が駆け寄ってきて、二人とも取り押さえられた…。
「本当にお財布を無くしただけなんだね?」
「本当です!」
「お名前は?」
「尾上ユカです」
「生年月日は?」
「1984年5月28日…」
「お財布の特徴は?」
「真っ黒の長いタイプです…中にはパンダの刺繍がしてあって…」
「ちょっと待っててくださいね」
「…?」
華の独身ライフ…お気楽ひとり旅行…
のはずが、なんで私今警察にいるんだ…?