コンプレックス
「悪いけど仕事がたまってるから1週間ほどは帰れない。君を捜すために随分時間を費やしたからね。じゃ、寂しい思いさせるけど…」
「ひっ…」
加藤は私の頬に触れようとしたが、おもいっきり避けた。
「はははははっ。もうそんな芝居しなくてもいいのに。じゃ行ってきます」
な…んでこんなことに……。
「うっ…」
気持ち悪い…やっぱり無理…!
「…っ、なんでっ…!?」
中からも開かないようにしっかり施錠してある…。
「開けてっ…誰か助けてっ!」
高層マンションの最上階、防音完備…
携帯も取り上げられた…。
どれだけ泣き叫ぼうとも誰にも届くことはなかった。
「……………」
「…タケルちゃんさっきから何回も電話かけてるけど、もしかしてユカちゃん?」
「…出ないんだ。店があっさり再開できたのも気になるし…。あいつもしかして…」
ごめんねタケル…
せっかく逃げろって言ってくれたのに…