コンプレックス

私にはもう、逃げ道はないみたい…。










加藤は1週間は帰れないと言っていたけど、翌朝には帰ってきた。



「どうしたの、こんなとこに座り込んで。まさかずっとそうしてたんじゃないだろうな?」



そのまさかよ…。
私はずっと玄関から動かなかった。



「食事はしたの?食材は冷蔵庫にたくさんあっただろう」



何も食べていない、飲んでいない。トイレだって1度もしてないんだから。



「夜ここの電話鳴ったろ。あれ僕だったんだ。君出ないから…まだ仕事終わってないけどいてもたってもいられなくなって帰ってきたんだよ」



出るわけないだろうが!この人…あほ!?



「……………」

「…あがれよ。ほら、服だって君が帰ってきた時のために用意してたんだぞ」



私はずっと無反応でいたけど…



「っ……!」



加藤は無理やり私を引きずりあげた。
そして…



「やめてください…」

「抱きしめるくらいいいだろ」



よ…くないっ!





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