コンプレックス

私は加藤を押しとばした。



「は…すごい力だね…」

「本当…あの……ごめんなさいっ」

「…なんで謝るのさ?」

「本当に無理なんです私…ちゃんと話さなきゃと思って私駅にいた…」

「何の話しだよ?」

「だから…嘘じゃないんです!私本当に男の人が…あなたの顔だってまともに見れませんし一緒にいるだけでも息が…」

「じゃああいつは何なんだよ!?」



加藤は怒鳴りだした。



「あいつ…タケルはっ…」

「タケルだぁ?親しげに…おっかしいだろぉおいっ!」



恐いっ…



「僕と一緒になれば一生安泰なんだぞ。何も心配いらないんだ」

「………っ」



恐いよ…



「…こっち向けよ。何泣いてるんだよ?なんでそんなにふるえてるんだよ!?」



加藤が再び近づいてこようとしたその時、電話が鳴った。



「…なんだよったく、もしもし?」




加藤の仕事の用件だった。


…鍵が開いてる。


逃げたい…ここにいたくない…
でも私が逃げたら……



「……………」





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