コンプレックス
女神様
私がドアを離すと、中から押していた加藤が飛び出てきた。
マヌケに転がる加藤を笑う間もなく私は無我夢中で逃げた。
ああ…
どうなってしまうのやら…。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
相当な距離を走った。
「………あれ?」
気がつくと実家が近い場所。
ちょうどよかった!
「ただいま!いきなりだけどお母さん、お金貸してっ」
「ユカ!あんた何したの!?」
「え、私はしたんじゃなくてされた…」
「ニュース見てごらんなさい、あんた指名手配されてるわよ!」
「ええっ!?」
どういうこと!?
調べたら…本当に私、指名手配されていた…。
大企業社長への暴行及び窃盗容疑!?
うそつけー!!
「お母さんっこれ違う!私一晩あいつに監禁されてたの!それ振り切って逃げたからこんなっ…」
「……………」
「…信じてくれないの!?」
「…信じるわ。だけども…誤解をとくためにも警察へ行きましょう!」
「やだ……」
「何言ってんのユカ!」
「やだっ!」
「ユカっ…どこ行くの!?」