コンプレックス
気が動転していて、私はまた逃げ出してしまった…。
一文無しだしアテもないのに…。
全国に指名手配されたことは、当然、タケルやジェニファーさんの目や耳にも入った。
「こんなのデマに決まってるわ!ユカちゃんはめられたのよ…!なんとかしてあげなきゃ…電話…タケルちゃん電話は!?」
「出ない…つうか、今朝から契約切られてる…」
「まぁ~、それもあいつの仕業なのよ~…ああ、どうしたらいいのかしら~…」
「…落ち着けよジェニファー!ここでパニクってもしょうがないだろ…」
「だぁって~…」
「……………」
私はどこまで逃げてきたのだろう…
足が痛い…お腹…すいた…ね…
ねむ…い…。
うわぁ…
林の向こうにオレンジ色がキラキラしている。
海かな…ちょうどよかった。体洗いたい…
行ってみよう…
確かにそう思った。
…ところまでは覚えている。
「…あ、気がついたね!」
………誰?