コンプレックス

気が動転していて、私はまた逃げ出してしまった…。

一文無しだしアテもないのに…。




全国に指名手配されたことは、当然、タケルやジェニファーさんの目や耳にも入った。




「こんなのデマに決まってるわ!ユカちゃんはめられたのよ…!なんとかしてあげなきゃ…電話…タケルちゃん電話は!?」

「出ない…つうか、今朝から契約切られてる…」

「まぁ~、それもあいつの仕業なのよ~…ああ、どうしたらいいのかしら~…」

「…落ち着けよジェニファー!ここでパニクってもしょうがないだろ…」

「だぁって~…」

「……………」












私はどこまで逃げてきたのだろう…
足が痛い…お腹…すいた…ね…
ねむ…い…。




うわぁ…
林の向こうにオレンジ色がキラキラしている。
海かな…ちょうどよかった。体洗いたい…
行ってみよう…



確かにそう思った。



…ところまでは覚えている。








「…あ、気がついたね!」



………誰?



< 53 / 123 >

この作品をシェア

pagetop