コンプレックス
知らない女の人が私を見下ろしていた。
…私、ふとんの中…?
事態がよくのみこめなかった。
「大丈夫?起き上がれる?」
「はい…あの、私……」
「あなたそこの砂浜で倒れていたのよ」
「えっ…」
「病院行ったほうがいいんじゃないって言ったんだけど、大丈夫だからとにかく温めてやってくれって、ここ、うちの別荘なんだけど、連れてこられたのよ」
「そうだったんですか…。え、誰が…」
「あなたを知っているっていう男の人が運んでくれたのよ」
「男の人…?」
まさか加藤が…!?
私はまた恐怖にふるえあがり…
「…寒い?ホットミルクでも入れようか」
「あの…その人は……」
「あがってって言ったんだけど頑なに遠慮しちゃって。砂浜にいるからあなたが気がついたら教えてって…そうだ教えてこなくちゃ!」
「やめて!」
いきなり大声をあげたから、女の人は驚いた。
「………?」
「ご…ごめんなさい!あの…その男の人って中年の小太りの…?」