コンプレックス

「ううん、若い若い。あなたと同じくらいの、シャイな感じの子よ」



じゃあ…加藤ではないな。
それがわかってホッとした。


え、じゃあ…





「どうしたの、あがりなさいよ。彼女気がついたんだってば!」

「…おじゃまします」



女の人が連れてきたのは…





「……タケル!?」



なんで…何がどうなって…ここはどこ!?




「ホッとしたらお腹すいたね。私なんかこしらえてくるからごゆっくり~」





個室に…タケルと二人きり。タケルはすみっこにいる。




「あの…事態がよくわからないんだけど…」

「バカ!」

「バッ…何よいきなり!?」

「なんであの時逃げなかったんだよ!なんでおまえが指名手配されてんだ!?」

「だっ…て」



前に渡した名刺の住所を頼りに、タケルは急遽飛んできてくれたのだった。

私が向かって行った林の向こうの海は空港の近くだったようで、タケルは飛行機の中から、砂浜に倒れていた私を発見した。



「…よく私だってわかったね」



< 55 / 123 >

この作品をシェア

pagetop