コンプレックス
「ううん、若い若い。あなたと同じくらいの、シャイな感じの子よ」
じゃあ…加藤ではないな。
それがわかってホッとした。
え、じゃあ…
「どうしたの、あがりなさいよ。彼女気がついたんだってば!」
「…おじゃまします」
女の人が連れてきたのは…
「……タケル!?」
なんで…何がどうなって…ここはどこ!?
「ホッとしたらお腹すいたね。私なんかこしらえてくるからごゆっくり~」
個室に…タケルと二人きり。タケルはすみっこにいる。
「あの…事態がよくわからないんだけど…」
「バカ!」
「バッ…何よいきなり!?」
「なんであの時逃げなかったんだよ!なんでおまえが指名手配されてんだ!?」
「だっ…て」
前に渡した名刺の住所を頼りに、タケルは急遽飛んできてくれたのだった。
私が向かって行った林の向こうの海は空港の近くだったようで、タケルは飛行機の中から、砂浜に倒れていた私を発見した。
「…よく私だってわかったね」