コンプレックス

「俺視力超いいもん」

「空港から一目散にかけつけてくれたんだ…」

「…捜す手間が省けてよかったよ。それに…大したことなくてよかった」



そう…


私は砂浜に眠っていただけだった。
確かに、飲みも食べもしていなくて力がないし、一睡もしていない。ずっと走って疲れて…とにかく眠かったんだった。

そして綺麗だった夕陽も沈み、11月の北風の吹く中、私の体温は低下していったところ…




「運んでくれたんだって…?ごめんね…」

「…しょうがないだろ」



女に触れるの苦痛だろうに…。私だって……


あれ?…べつにゾッとかしないな。タケルだから…か。



「あっ、お店は!?」

「大丈夫だ。おかげで今夜も営業できてるから心配すんな」

「そう…よかった」


「お待たせ~!」



わ…ほかほかのカップラーメン。
ほぼ2日何も食べてないから遠慮なんてしてる状況ではなかった。



「うぐっ…おいしい…」



泣いちゃいそう。



「ははっそんなに?大袈裟だねぇ」




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