コンプレックス
「だって…」
生還したという感じだ、まさに。
「もっと何かあればよかったけど、明日帰るからもうこれしかなくて」
「十分です、生き返りました」
「はっはっ、よかった。私、新田かおり。あなたたちよりうーん、ちょっとだけお姉さんかな?あなたたちは?あなたはさっきタケルって呼ばれてたね。彼女は?」
「お…ユカです」
「ユカちゃんね。食欲もあるし、もう大丈夫ね!」
「ありがとうございます…」
危ない…フルネームで言うとばれるかも…。
「タケルくんは食べないの?」
「いいっす…」
「そ。それにしてもそんなに隅っこにいないでこっち来なよ。ユカちゃんも目が覚めたし、よかったね!」
「……………」
タケルは落ち着かない様子だ。
「…間違ってたらごめんね。あなたたち、何かに追われてる?」
ドキッ…
「なんで…?」
「だってさっきのユカちゃんの怯えよう…中年の?小太りの?って…」
そっち…。指名手配のことかと思ってヒヤヒヤした。